焼菓子のお店・杜ノ居さん「旬の味わいが感じられる、シンプルな焼菓子を」

福岡県・輝国に突如現れる小さな森。一歩足を踏み入れると、そこはまるでお伽話の世界。つい1秒前まで見ていた光景が嘘のように、たくさんの木々と、木漏れ日に包まれた「杜ノ居」の世界が広がります。時折ツンと冷たい風が吹き抜ける秋晴れの日、ご夫婦で経営されている、カフェと雑貨屋「杜ノ居」さんにお邪魔しました。

二人三脚でつくり上げた空間

焼菓子の香りとともに出迎えてくれた、奥さまの絵美子さんにお話をうかがいました。

本当に静かな空間ですね。
杜ノ居
67年ほど前に建てられた民家を、そのまま活用しているんです。レジのカウンターや換気扇、水道周りなどは修繕しましたが、そのほかはほとんど当時のままの姿。大家さんがもともと住んでいらっしゃったのですが、本当に大切に住まわれていたみたいです。

古民家の一室は、雑貨屋「折節」を構えています。小石原焼などの器を中心とした、生活雑貨が並ぶ。

お店を始めてどのくらいなんでしょうか。
杜ノ居
約2年になります。もともとは住居として賃貸に出されていたものなんですが、大家さん宅に何度かお邪魔して交渉し、今はカフェと雑貨屋をここで営んでいます。

どうしてお店を始められたんですか?
杜ノ居
もともと私はカフェなどで料理やお菓子を作る仕事をしていたんですが、主人が私の焼菓子をとても気に入ってくれていて。それでいつか「カフェをやってみたらどう?」なんて言われていたんです。そんなときにこの物件と出会い、あれよあれよとカフェのオープンに至りました。まさか自分がカフェをやるなんて思わなかったですね(笑)

焼菓子などのデザートのほかに、食事も充実。こちらは、仕込みや仕入れで内容が変わる定食メニュー(取材当日は「和牛バラ肉の味噌煮」)。そのほか、カレーやたまごサンドなどを営業時間内ならいつでもいただくことができます。

ご夫婦でどのように分担されているんですか?
杜ノ居
基本的に主人が食事を、私が焼菓子を担当しています。

古民家に合わせたレシピを

メニューの考案はどのようにされているんですか?
杜ノ居
実はすべて、この古民家が主軸になっていて。「杜ノ居」という店名も、森に囲まれた家(居)という意味で名付けました。この物件が見つかる前は、少し離れた場所でさがしていて。その地域でカフェをやるなら、ランチはナポリタンやオムライスなどの喫茶店メニューにしようと思っていたんです。けれど、ここの物件に出会って、少し手のこんだ定食をメインにしようと方針を変更しました。

焼菓子は、庭や裏山で取れた栗や柿、大分県産のかぼすなど、身近で旬な食材を中心に考えることが多いですね。基本的に「自分が食べたいもの」をお出しするようにしているので、果物などを主役にしたシンプルな味わい、そして食感にこだわりながらレシピを考えています。ご飯を食べたあとでも、ペロッと食べられるような“軽さ”も意識しています。

九州の味わいをみなさんにも

九州の食材を使うことが多いんですか?
杜ノ居
ここにいると、四季の移ろいを身近で感じることができるんです。秋になると裏山では栗が、庭では柿が取れます。さらに、母の実家がある大分県からかぼすを送ってもらって、パウンドケーキをつくりました。だから、特別意識しているわけではなく、自然と身近な食材を使うようになった感じですね。やっぱり慣れ親しんだ食材を使ったほうが、つくっている私たちも愛着が湧くし、みなさんにも食べてほしいと思うので。カフェのもうひとつの目玉「和紅茶」も、九州産のものを数種類ご用意しております。

身につけていらっしゃるエプロンも素敵ですね。
杜ノ居
これも福岡の“久留米絣”という伝統工芸品なんです。すごく着心地がいいんですよ。

minneに登録されたのはどうしてですか?
杜ノ居
遠くに住んでいる方にも杜ノ居の焼菓子を届けたいと思っていたときに、主人がminneを見つけて来てくれて。登録するだけですぐに通販サイトがつくれてしまうようなライトさに惹かれて登録しました。

マフィンやクッキー、スコーンなど、たくさんの焼き菓子がminneでも好評です。

私がつくった焼菓子が、遠くに住んでいらっしゃる方々の家族団らんの中にあるのかと思うと、少し照れくさくもあり、うれしさもありますね。今でもすごく不思議な気持ちになるんです。

将来の夢をおしえてください。
杜ノ居
杜ノ居を訪れるお客さんがもっとくつろいでいってもらえたらいいなって思いますね。その思いが、minneで購入してくれた方たちにも届くような、そんな焼菓子をつくっていけたらと思っています。
杜ノ居さん
旬の素材を使った、シンプルな味わいの焼菓子を製作。福岡県・輝国にて、地元の人に愛される、同名のカフェも経営。
https://minne.com/@morinoi

取材・文 / 堀田恵里香    撮影 / 中村紀世志