【連載】つくるしごとvol.4ー篠原涼子「演じる役をいちばん大好きになる」

6月に全国公開される、不器用な母娘の実話に基づく話題作、映画『今日も嫌がらせ弁当』。主演をつとめた篠原涼子さんに、女優としての役づくりについてなど、「作品づくり」や「ものづくり」についてお話をうかがいました。

【連載】つくるしごと:ものづくりを手がけるプロフェッショナルに、そのお仕事との向き合い方について、お話をうかがいます。

愛のかたまり

ブログからじわじわと人気を集め書籍化された『今日も嫌がらせ弁当』が、同名で映画となり6月に全国公開されます。篠原涼子さん演じるシングルマザー・かおりと、芳根京子さん演じる反抗期の娘・双葉が、お弁当を通じて交流を深めていくストーリー。

劇中のキーワードである「お弁当づくり」もものづくりの一環。今回は主演をつとめた篠原涼子さんに「つくる」ということを中心に、お話をうかがいました。

完成した映画はもうご覧になられましたか?

篠原さん
はい。観はじめたら、あっという間に終わってしまって(笑)。もっとちゃんと観たいと思って、初めて同じ映画を2回連続で観たんですよ。それでもあっという間に終わってしまうくらい面白くて、じんわり心があたたまる作品だなと感じました。


お弁当が題材になっていますが、篠原さんにとってお弁当とはどのようなものでしょうか。
篠原さん
お弁当って「愛のかたまり」みたいだなと思います。食べるときに、つくった人がその場にいなくても、ひとつひとつのお料理をどんな風につくったのかな、どういう気持ちでつくったのかなって、自然と顔が思い浮かぶというか。おにぎりひとつにしても、時間をかけてつくってくれたんだと思うだけで、噛み締めて食べようという感覚になりますよね。

劇中では、反抗期の娘との会話の代わりに、キャラ弁が登場します。やがてそのお弁当が大切なメッセージを伝える手段に。


篠原さんご自身は、お子さんのためにキャラ弁をつくられたことはありますか?
篠原さん
息子のリクエストで、スパイダーマンとライオンキングをつくったことはありますが、決して上出来とは言えませんでしたね(笑)。海苔をつけたり、赤い部分はカニカマで表現してみたり、たのしんでつくったんですけれど、結果的には息子に「もったいなくて食べられなかった」と言われてしまい、これはだめだ、と思いました(笑)。


直接、もいいけれど、お弁当でのスキンシップというのも素敵ですよね。
篠原さん
そうですね。食事って健康、元気につながるものなので、そういう願いも伝えられるものかなと思います。あとは、直接ではないスキンシップで言うと、我が家の長男は毎日日記を書いているんですけれど、その内容に対してわたしがメッセージを書く、ということをしていますね。交換日記じゃないけど、そんなイメージかな。仕事でなかなか会えないときは、1枚の紙に「なかなか会えなくてごめんね。でも大好きだよ」と書くこともあります。


お手紙も書かれるんですね。
篠原さん
手紙って、何回も読み返せますし、そのたびに「ありがとう」って思えるから好きなんです。息子以外にもいろんな方に書きますよ。たとえばプレゼントをいただいたときに、手紙を添えてお返しをしたりとか。レターセットを買うことも好きです。

日常的ものづくり


お弁当以外にもお子さんのために、ものづくりをされることはありますか?

篠原さん
学校行事のためのもの、カバンやランチョンマット、コップ入れなんかはつくりますね。あとは演劇でみんなの前で発表するためのものもつくります。コブ取りじいさんの役だったときは、おじいちゃんの服をつくったりもしましたよ(笑)。


洋服までとはすごいです。ミシンはお得意なんですか?
篠原さん
いえいえ、手縫いなんですよ(笑)。学校から「ミシンを使っちゃいけない」って言われて。でも小さいので逆に手縫いのほうがラクなんですけどね。

他にも、家族のためのお料理は毎日つくられているという篠原さん。カレー、ロールキャベツ、春巻き、麻婆豆腐、ローストビーフ、グラタン、煮物…とあらゆるリクエストに応えてなんでもつくられるそう。「食材を水で洗ったり、切ったり、火で炒めたり。そういう時間が幸せで、楽しいんです」。

「味」があるものを


「つくる」ということはお好きなんですね。手先も器用なほうですか?
篠原さん
つくることは好きなんですが不器用なので、手先を使う作業は全然だめですね(笑)。今回、お弁当をつくるシーンのために、デザインカッターやピンセットを使う作業はかなり練習したので、そこだけは上手になりました。

キャラ弁の顔パーツをつくったり、海苔を切って文字を描く作業は今ではお手のもの。「逆にうまく道具を使えないというシーンの演技が難しかった」というほどに上達されたそう。


今後、挑戦してみたい「ものづくり」はありますか?
篠原さん
陶芸をやりたいです!土を触るのって気持ちよさそうですよね。ちょっと変わった形になっても、そこがカッコよく見えたりするのもいい。あとは、筆を使いたいなとも思います。大人になった今、改めて書道を、習字を書いてみたいですね。上手に、というより「味があるな」と思えるものづくりに興味があります。

みんなに「届ける」前に


女優として作品づくりに携わり、その作品をみなさんに届ける上で、大切にされていることをおしえてください。

篠原さん
いつも「主人公を大好きになる」ことです。観る人に主人公を好きになってもらいたいと思うんですよね。自分が他の作品を観るときも、主人公に気持ちを寄せて“愛くるしいな”とか“カッコいいな”とか思いながらたのしむことが多いので。わたしが主人公を演じるときは「誰よりもその人を、そのキャラクターをいちばん大好きになる」ようにしています。わたしが大好きになれば、作品を観てくれる人の中にもひとりやふたりは共感してくれる人がいると信じて、そこを大切にして作品を届けようと思っています。


今回の映画で篠原さんが演じる主人公、“かおりさん”は実在の人物ですが、どのような役づくりをされたのでしょうか。
篠原さん
直接かおりさんとお話をさせていただいて、いろいろなヒントをいただきましたね。謙虚で物静かなように見えて、お茶目な部分もある方で。スタイリングは、かおりさんが普段よく着られているチェック柄、かけられている雰囲気のめがね、など極力ご本人に近づけていきました。ただ、表情や仕草はリアルというより、わかりやすくしたほうが作品としては伝わりやすいと思ったので、かおりさんに「多分こういうことはやらないと思いますけれど…」とお伝えさせていただいて、変顔を取り入れたりもしました(笑)。

篠原さん
ちなみに、劇中で双葉を起こすシーンでは「いつもラテン風の踊りで起こしていました」というかおりさんのお話を元に、謎の踊りを披露しています(笑)。本当にこれでいいの?と考えながらも思い切って踊ったので、たのしんでいただけたら嬉しいです(笑)。


役を通して伝えたかった想いをおしえてください。

篠原さん
今回はやっぱり「親子の絆」をみなさんに伝えられたらいいなと思いました。劇中のアットホームな雰囲気の中で、家族愛、親子愛を感じられると思うので、改めて「やっぱり家族っていいな」「子どもっていいな」と、心あたたまる気持ちになってもらえたらうれしいですね。いや、きっとなっていただけると思います!



篠原涼子さんが主演をつとめる映画『今日も嫌がらせ弁当』は6月28日に全国公開されます。ぜひ劇場でご覧ください。

篠原涼子(しのはら りょうこ)
1973年、群馬県生まれ。サスペンスからアクション、コメディから感動作まで、幅広い役柄を多彩で豊かな表現力で演じ分け、今や日本を代表する女優の一人となった。主な出演映画は、『THE 有頂天ホテル』(06)、『ステキな金縛り』(11)、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)、『人魚の眠る家』(18)など。TVドラマは、「anego(アネゴ)」(05/NTV)、「アンフェア」(06/KTV・CX)、「ハケンの品格」(07/NTV)、「ラスト♡シンデレラ」(13/CX)など。
コラボ作品の販売や、プレゼントキャンペーンも実施中。

minne作家さんが篠原涼子さんとご対面!
「映画『今日も嫌がらせ弁当』コラボ作品が生まれました。」
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取材・文 / 西巻香織 撮影 / 真田英幸