素敵な器でいただきます。vol.15「谷中の喫茶ニカイ」

食事をするとき、その器が素敵だとおいしさも倍増するような…とってもしあわせな気持ちになりませんか。目でみてたのしめる、味わってたのしめる、そんな豊かな「いただきます」の時間を堪能できるお店をご紹介します。第15回目は、谷中にある「喫茶ニカイ」にお邪魔してきました。

器屋さんの「ニカイ」

千駄木駅から徒歩10分。今回の目的地は、鮮やかなブルーの看板が特徴です。その名も「喫茶ニカイ」。

器と雑貨を取り扱うお店「kokonn(ここん)」の入り口から入って、階段を上がった2階にあります。

もともと器屋さんとして、1階の畳スペースにカフェを併設していたものの、カフェが好評となり、2019年9月に2階のスペースで「喫茶ニカイ」と名を改めてオープン。現在、1階の畳スペースは、さまざまな作家さんの器が並ぶギャラリーとしても人気を集めています。

靴を脱ぎ、畳の上で落ち着いた気分で器を眺め、たのしむことができました。器はその場で購入することも可能。
並ぶ器は「喫茶ニカイ」でも使用されているのだそう。

2階にはどんな空間が広がっているのでしょう。
はやる気持ちをおさえつつ、さっそく階段をあがっていきます。

目指すは「実家感」

木製の階段を一歩一歩踏みしめてあがると、そこにはロゴ同様の鮮やかなブルーを基調としたカフェ空間が広がっていました。

アンティークのような風合いのテーブル・ソファ、レトロとモダンが入り混じったような、ほどよく雑多なインテリアの数々は、おしゃれでありつつもどこかほっと落ち着ける印象。
店内のBGMには80年代のポップスが流れていました。

オーナーの櫻井崇雄さんにお話をうかがうと、喫茶ニカイは「実家に帰ったような、居心地のいい、自分がいちばんくつろげるお店をつくりたい」という想いのもと始められたそうです。

店内のインテリアやアート、雑貨はそのほとんどが櫻井さんが買い付けたもの。「整然としているよりはすこし雑多な感じが好み。自分の趣味でもあるサブカルチャー要素もあるかもしれません」。

イラストレーター・ヨシフクホノカさんとのコラボレーションTシャツ。

ペイントアーティスト・BAANAIさんのアート作品。

国内外で活躍する注目アーティスト・オートモアイさんのアート作品もありました。

中でも、理想の空間をつくるにあたり欠かせないと感じたのが、やさしい灯りとノスタルジックなムードを放つ「ステンドグラス」なのだと言います。

「内装を仕上げる段階で、何かもうひとつ欲しいなと考えたときに、絶対にこれだ、と思ったのがステンドグラスでした。イメージに合うデザインを探す中で出会ったのが、同じ谷中にあるnidoさんのステンドグラスです」。

光の差す角度で異なる表情をたのしめるステンドグラスのお花も。

シンプルなようで味わいのあるデザインのライトは安土草多さんのもの。

「あまりに素敵なので、置いているだけではなく、いくつか店内で販売もさせていただいているんですよ」と櫻井さん。
訪れた際にはぜひご覧ください。

選りすぐりの器

喫茶ニカイで使用している器もまた、櫻井さんが全国の窯元を訪れて買い付けたもの。こだわりの器の一部を見せていただくことに。

目を惹くブルーのお皿は、中川直人さんの作品です。発色が良く、吸い込まれそうな美しさ。

久保田健司さんのマグカップは、化粧土を使って描く“スリップウェア”という技法でつくられた、まさに一点もの。

梅本勇さんが手がけたアートのような器たち。飾っても存在感がありそうな、印象的なデザインです。

佐々木康弘さんの益子焼のカップは、クールなようであたたかみのある色使いにも注目。

「作家さんの元へ直接うかがい、目で見て心からいいなと思ったものを使っています。喫茶ニカイで食器として使うだけではもったいないので、同じ作家さんの器を1階のkokonnで販売させていただいていて。マグカップもプレートもボウルも、いろいろ揃っていますよ。不定期で器展を開催することもあります」と櫻井さん。

実際にカフェで目にしたり、使った器、また、その作家さんの他の作品をすぐに購入できるのはいいですね。器展の情報は随時、kokonnの公式Instagramでお知らせされるとのことなので、要チェックです。

さて、それではこのへんで、メニューをオーダーしましょう。

映える「いただきます」

店内にはさまざまなアイテムが並び、見どころ満載なので、お料理を待つ間も、ずっと目をたのしませてくれます。

ふと棚の上を見ると、イラストレーター・師岡とおる氏デザインの喫茶ニカイのロゴをモチーフにしたステンドグラスのキャンドルホルダーが。

アニバーサリー記念で益子焼作家・佐々木康弘さんにつくってもらったというお皿と箸置きも特別に見せていただきました。

本棚には雑誌、図鑑、小説…とさまざまなジャンルの本がずらり。

そうこうしているうちに、さっそく一品目のメニューが運ばれてきました。

オーダーしたのは、定番人気の「のりたまサンド」です。
お花の器は、久保田健司さんの作品。レトロかわいくて喫茶気分をグッと盛り上げてくれました。さりげなく見えるお花がかわいくて、つい色々な場所に置いて撮影したくなってしまいます。
レモンスカッシュのグラスは、喫茶ニカイのロゴ入り。懐かしさがあって、こちらもいい雰囲気です。

谷中銀座にあるラ・スールリマーレのパンを使ったこんがりトーストに、とろ~り半熟卵と黒々としたのりのコントラストが食欲をそそり、ぺろりと完食。濃い卵としっとりしたのり、ハムなどのバランスが絶妙でおいしかったです。

続いて、人気のスイーツメニュー「ニカイのフレンチトースト エスプレッソバニラ」と「ニカイのクリームソーダ」が到着。

器は先ほどご紹介した、中川直人さんの作品です。クリームソーダのブルーともあいまって、涼やかでとにかくとっても綺麗なので、こちらもまず、思わず撮影したくなりますね。

食べ進めるうちに、フレンチトーストの中のチョコレート、上に乗ったエスプレッソバニラアイスが溶け出すと、お皿の色味と混ざり、それもまた美しかったです。
お味はというと、もちっとした生地に濃厚なチョコレート、さっぱりしつつも風味のあるアイスクリームがマッチ。食べ応えも抜群でした。

クリームソーダは、ロゴの旗付きというのがなんともキュート。ぽてっとした、グラスもかわいいですね。空間のインテリアとの相性が抜群すぎて、さまざまな角度から眺めては、おいしくいただき、癒しのひとときを過ごすことができました。
ごちそうさまでした。

器、インテリア、お料理…どれもたっぷりたのしめる「喫茶ニカイ」。
絵本の世界に迷い込んだような、非日常的なこちらの空間もカフェとして解放されています。
1階のギャラリースペースも器好きにはたまらないはず。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

次回はどんな素敵な器とごちそうに出会えるでしょう。
乞うご期待。

喫茶ニカイ
住所:台東区谷中6-3-8 kokonn2F
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜日
Instagram:https://www.instagram.com/kissa.nikai/

取材・文 / 西巻香織   撮影 / 真田英幸