【minne×Pinkoiトップ対談】アジアのものづくりを世界へ届けるために

日本最大級のハンドメイドマーケット「minne」と、台湾発のアジア最大級のグローバル通販サイト「Pinkoi」。それぞれのトップによるオンライン対談が実現しました。お互いのサービスの印象やアジアのハンドメイド市場に抱く想い、描く未来像とは?

新井正樹
GMOペパボ株式会社 執行役員
minne事業部 部長
Peter Yen 顔君庭
ピンコイ株式会社 共同創立者/CEO

インターネットでハンドメイド、デザイナーズマーケットをそれぞれ展開しているminneとPinkoi。今回の対談も日本と台湾からインターネットを通じて、オンラインで開催されました。


画面が切り替わると、「画面越しだけれどこうして会えてうれしい」(新井)、「ずっと会いたかったので今日を楽しみにしていた」(ピーター)と、初対面の挨拶を交わした2人。
minneとPinkoiそれぞれのサービスについて、から対談スタートです。

インターネットの力で

新井
まずは、簡単にそれぞれのサービスの自己紹介をしましょう。
minneは2012年1月にスタートした、ハンドメイドを「売りたい人」と「買いたい人」をつなげる、ものづくりの総合プラットフォームです。今年で10年目です。
基本的な仕組みはシンプルで、ものづくりをしている作家・ブランドさんは、「個人」や「会社」などの枠にとらわれずに、無料で作品を販売できます。その決済やシステムをminneがサポートしています。現在は75万人以上の作家・ブランドさんに登録いただいています。

ピーター
Pinkoiも仕組みは同じで、スタートも大体同じ時期、2011年です。
「デザイナーやメーカー、作家、職人と呼ばれる人たちの手がけるブランドの認知度を高めて、ビジネスの手助けをしたい」という想いで事業を始めました。
「優れたデザインを通して、自分らしいライフスタイルへ」がモットーです。
minneさんとは異なる点をあげると、Pinkoiではデザイナーの出店はすべて審査制になっています。優れたデザインを事前にPinkoiが審査をして選ぶことで、ユーザーさんが素晴らしいアイテムを買えるようにするためです。

「minne」の名前は博多弁が由来。「見てみんね」「作ってみんね」と語尾に「みんね」を付けることで、「〜してみない?」という意味になります。 minneを運営するGMOペパボ株式会社はもともと福岡が発祥の会社なんです。
新井
minneでは、出展作家・ブランドさんが増えているだけでなく、最近では、食べ物や農作物を売るマーケットとしても農家・事業者の方々にもminneを選んでいただいていて、カテゴリーの幅もまた、どんどん広がっている状況です。
2019年の3月からは、海外に向けた発送もスタートしました。海外発送を代行できる企業とパートナーになったことで、海外のユーザーの方から注文をもらった場合も、スムーズな取引が可能になっています。

「Pinkoi」の名前は「ピンク」と「鯉」「恋」から成る造語。英語で「Love」の意味も持つ「恋」をネーミングに入れることで、デザイナーとデザインプロダクトを愛してほしいという気持ちが込められています。
ピーター
食べ物や農作物があるというのは素晴らしいですね。Pinkoiでも、海外旅行に行けない今だからこそ、日本から台湾のお茶やコスメをお取り寄せしたり、海外のファッションや文房具を買って旅行気分を味わったりしてくださるユーザーさんが多くなってきていて、それと同時に、デザイナーの出店数やカテゴリー数も増えていっています。
海外への展開という点でいうと、Pinkoiはデザイナーの商品をビジネス化、起業化、そしてグローバル化させることをミッションに掲げており、今はアジアのさまざまな国にオフィスを構えていて、各国の商品を現地のデザイナーから直接購入できるようになっています。
本社は台湾の台北にありますが、日本、香港、タイ、中国にも拠点を設け、それぞれの国や言語に合わせてPinkoiのサイトを運営しています。日本市場には2014年に進出していて、日本のユーザーの方が好きそうな旬のアイテムをピックアップしたり、年間行事に合わせてたキャンペーンを実施したりして、世界中の素敵なデザインをご紹介しているんですよ。
新井
もちろん存じています。実は最近もPinkoiでお買いものいたしまして……

YANGYANGさん(台湾)の「ブラス フラワーベース
新井
この花瓶は、上が真鍮でできていて下がガラスになっているんですよ。台湾の親子、お父さんと娘さんでやられている金属加工のブランドで購入しました。品があって部屋のアクセントにぴったりです。
ピーター
真鍮とガラスの花瓶ですか。とってもいいですね!素敵です。

Supecialu U Designさん(台湾)の「オーディオテープ ベルトヘッド
新井
あと、わたしは音楽が好きなので、ちょっぴりレトロな雰囲気のカセットテープのバックルが付いたベルトも購入しました。遊び心があってすごく好きなデザインです。

ピーター
わあ、ありがとうございます!わたしもベルトが好きなのでとても興味深いです。これはユニークなデザインですね。新井さんによく似合いそうです。
こうして良い商品を、国を超えて知っていただけるのはインターネットの力があってこそだと感じます。わたしは先日minneのサイトで、キャンプのアイテムが積極的に紹介されているのを見て、アウトドア需要が高まっている今にぴったりだなと思ったと同時に、世の中の流れにすぐに沿っていけるのもインターネットだからできることだと改めて感じました。
グローバル化においてインターネットの重要性はますます感じていますが、インターネットだからできること、活用性もより考えていきたいところです。

お気に入りに出会える場所

新井
minneにも訪れていただき、ありがとうございます。せっかくなので、ここでお互いのサービスにどんな作品が揃っているのかや、人気の傾向などを改めて紹介し合いましょう。minneは出品数でみると、特にアクセサリーやファッションアイテムが多いマーケットです。

左・yayoibiyoriさんの「コルセット型リング
右・Zacchino!さんの「猫たちのピンブローチ
新井
海外で人気のアクセサリー作品ですと、このインパクトのあるコルセットモチーフのリングやかわいい猫のブローチなどがあります。

Re.De.Stu*laminationさんの「逆さ富士と桜の醤油皿
新井
あらゆるカテゴリーの中でも海外から人気を集め続けているのが、醤油を入れると富士山が現れるアートのような醤油皿です。自分用としてだけでなく、日本らしさがあるので、日本のギフトとしても人気が高いのだと思います。

左・chichinpuipuiさんの「霧島キッシュ
右・BLUEWHITEさんの「CBCスウェット

KILIKOさんの「虹が出る東京切子
新井
そのほかにも食べ物やアパレル、日本の伝統工芸品もたくさんあります。切子のグラスも海外の方に大変人気です。
minneには現在200近くのカテゴリーがあり、1300万点以上の作品があります。本当に幅広い作品を、色々な作家・ブランドさんに出品いただいていますね。
ピーター
minneが日本で有名であることはずっと前から知っています。わたしも憧れのサイトのひとつです。日本風、日本スタイルのものがたくさん揃っていて、手作りの雑貨や日常生活の小物も色とりどりいっぱいあるイメージを受けました。
Pinkoiにはアジアのブランドがたくさんありますので、まずは台湾のブランドから順に紹介させてください。

左・印花楽inBlooomさんの「ボール型巾着袋
右・Wolf Teaさんの「彩り茶筒大集合ギフト
ピーター
「印花楽 inBlooom」というブランドは日本のお客さまからも人気があり、台湾旅行のときもこのお店でお買いものをされている方がいっぱいいます。台湾の伝統的な模様を使っているのが特徴で、昔ながらの窓の柄や、縁起が良いと言われるどうぶつをモチーフにしています。
「Wolf Tea」という台湾のお茶をメインにしたブランドは全て上質なお茶を使っていて、日本のお客さまにも人気でパッケージもおしゃれでギフトにもよく選ばれます。

左・Anicornさんの「Pinkoi×miffy腕時計
右・House of Avenuesさんの「HOA × Yi-ming金魚プリントパンプス

ピーター
香港の腕時計ブランド「Anicorn」は、有名な企業などのコラボが多く、高品質なのが特徴です。例えば最近では、NASAやミッフィーとのコラボ商品などが話題になりました。
また、中国の伝統的な柄を取り入れたシューズブランド「House of Avenues」は、香港だけでなく、中国や台湾のお客さまにも人気があります。

左・posieflowersさんの「アロマチックフラワー
右・MUKU工房さんの「サイドテーブル
ピーター
タイの注目ブランドが、紙で作られたお花を販売している「posieflowers」です。リアルだけれど紙なので、時間の経過を気にせず楽しむことができます。自宅のインテリアにはもちろん、ギフトにもぴったりなアイテムです。紙のお花ということで、越境の運送に心配がある方もいるかもしれませんが、わたし自身が購入をしてみたところ、パッケージも梱包もしっかりしてあって完璧な状態で届いたのでご安心を。
そして、日本のブランドだと、わたしも好きなのが「MUKU工房」。木製のインテリア家具を扱っているのですが、どれも丁寧な職人技を感じさせ、シンプルでとても美しいんです。
新井
それぞれの国らしさがあっていいですね。伝統的な模様やモチーフなど、トラディショナルなものをモダンな形に落とし込み、作品としてクールに仕上がっていてとても素敵です。わたしは、越境して作品が届いたとき、例えばパッケージに台湾の文字や郵便局のマークがついているとか、その一つひとつのコミュニケーションを感じるだけで、旅行にでも来たようでテンションがあがってしまって。なんてエキサイティングなマーケットなんだろう!と常々思うんですよ。
ピーター
とてもよくわかります。違う国のデザインを知ること、手にすること、その経験をすることでいつものライフスタイルがより素晴らしいものになると思います。わたしもminneでお気に入りを探したいと思います。

作り手に寄り添って

新井
こうしてお互いのサービスの作品を見ても思うのですが、この10年で「ハンドメイド」の意味合いやイメージが変わってきていると感じます。「自分の手で作る」だけでなく、機械や技術も発達している今、一部の工程を誰かと協業したり、テクノロジーを活用して作ることもハンドメイドです。
また、最近minneでとったアンケートですと、今までは「趣味で作っている」という人が多かったのに比べ、今は50%以上の方がminneを主な収入としているなど、この10年は「個人のエンパワーメントの時代」だったと感じています。
ピーター
わたしたちが作り手のみなさんをいかにサポートできるかが大切ですよね。Pinkoiでも、最初は1人で1スタジオで手作りをしているデザイナーがたくさんいました。趣味や副業としてハンドメイドの作品を作っていたけれど、Pinkoiでの販売を続けて、わたしたちのサポートで徐々ににひとつのキャリアとして発展を遂げて、今では世界で活躍するようになっていったブランドもたくさんあります。Pinkoiでは2019年から通販サイト以外のビジネスモデルを作るべく、ワークショップなどの事業も始めていますが、デザイナー専属のサポートチームが、直接海外販売について相談に乗れる環境を整え、セミナーやPinkoiに出店中のデザイナーのみが閲覧できる情報サイトの運営、送料の設定方法や写真撮影のアドバイスなど細かいサポートも適宜行なっています。2020年4月〜12月には、コロナ禍で少しでもデザイナーの力になれればと“Pinkoi Stays with You”と題し、販売時の成約手数料を下げる取り組みも行いました。
新井
同じく、作り手のみなさんのサポートや事業の支援は本当に大事だと考えています。minneでは、作り手の方の悩みや質問に答えられるような、オンラインでのノウハウの発信や、書籍の出版を通して、作家・ブランドとして活動するためのガイドのようなものを作っています。
4月には初めてオンラインのワークショップ企画を開催しますが、作り手のみなさんが作品販売以外にも事業拡大できる取り組みも今後挑戦し続けます。作家・ブランドさんにとっては事業を広げる「活動の基盤」となれるように、また購入者にとっても創造的な発見がある「体験の基盤」となれるように、そんな「ものづくり総合プラットフォーム」を目指しています。

ピーター
素晴らしいですね。わたしたちはこれから先、作り手の普遍的な価値をもっと多くの人に届けるべく、インターネットをもっともっと活用して越境通販にも注力していきたいと考えています。例えばコロナ禍で台湾のマスクをアメリカへ売り出すというケースもありますし、コロナ禍で新しい生活様式が求められるこの状況でより重要性を感じているんです。
新井
minneでは先ほど述べた通り2019年から海外発送の代行をしてくださるパートナーとして、株式会社ジグザグさんが運営する越境ECサービス「WorldShopping BIZチェックアウト」を導入し海外への発送対応をスタートしました。作家・ブランドさんの中にはまだ不安がある方も多い状況ですが、海外の方にminneで販売されている作品をしっかり届けるところはクリアしているので安心してご利用いただけています。
ピーター
日本の作家・ブランドさんは、海外に興味があるけれども、言葉の壁が大きくてなかなか踏み出せないという人もいるように感じます。Pinkoiで越境での注文や発送のやりとりを見ていて思うのは、他国のお客さまとのコミュニケーションを難しく考えないでほしいということです。Pinkoiでは自動翻訳機能を搭載しているということもあり、母国語を使って、デザイナーとお客さまが直接、簡単にメッセージを送り合うことができます。一方、Pinkoiサイト内に掲載している「お買い物に使える『中国語』講座」という記事を参考に、がんばって中国語を使って台湾のデザイナーとのメッセージのやりとりを楽しんでいるお客さまも多くいます。実際に「Pinkoiがきっかけで友達になった」といううれしいエピソードを耳にすることもあります。
いちばん大事なのは「勇気を持ってやってみよう」というスタンスです。ものづくりは言葉が通じなくても、作品自体を見てすごく共感をもってもらえることもある。思い切ってやってみることで、自信にもつながる。だから言葉の壁を怖がらずにやってみてほしいですね。
新井
コミュニケーションはシンプルに「Thank you」だけでいいのかもしれないですね。実際に、勇気を持ってチャレンジしてみたminne作家・ブランドさんのお話を聞いてみると、「世界が広がったようでとてもうれしかった」「日本の思い出に日本のものを手もとに置きたいといって、作品を選んでいただけた」「自分の作品が海外の方の感性でもいいものだと思っていただけた」などよろこびのエピソードがとてもたくさんあります。
同時に、海外販売への意欲についてのアンケートでは8割以上の作家・ブランドさんが「興味がある」と回答されており、理由として「自分の作品の可能性を試してみたい」と意欲的な回答をされているので、ピーターさんも言う通り、ぜひ、おそれず海外ユーザーさんへ向けたSNS発信にもチャレンジしていただきたいですね。

自分たちで「文化」を作る

新井
ひとつ、質問してもいいですか。
特にアメリカやヨーロッパの国々では、蚤の市などでも、アートやクリエイションのリスペクトが高く、ハンドメイド愛好層だけでなく、日常生活に、当たり前のようにハンドメイド作品を取り入れています。それこそが「文化」であり、アジアにはそこにのびしろがあると思うんです。そしてわたしたちminneとPinkoiが一緒になってその文化を作るべきなのではと思っているのですが、いかがですか。
ピーター
おっしゃる通りだと思います。アジアにはその文化がまだまだ浸透していない印象だけれど、逆に言えばこれから時間をかけて、Pinkoiとminneが今から一緒に頑張ることで、アジアの作り手、ブランドがどんどん大きくなっていく、重要な時期に入っていくでしょう。
Pinkoiはわたしたちアジアのクリエイションがアジアだけでなく、世界の人々の日常の一部になることを信じています。
新井
文化を作るということは容易にできることではないと思いますし、1企業や1つのサービスでできることではありません。minneやPinkoiが登場するまでは、アマチュアだプロだと分断するような観念も社会にありましたが、この10年ではエンパワーされ創造的な個人の力が大きな”うねり”となり、みんなで一丸となって市場を広げることができました。ここからは各サービスが頑張っていくということも重要なのですが、同時にminneもPinkoiも一緒になってアジアのものづくりを広げていくんだということも大事だと思っています。

ピーター
同じ考えを持っています。アジアでクリエイション、デザインのエコシステム(事業生態系)を作り上げ、広げていくにしても時間が必要になるので、ぜひ一緒に頑張っていきたいですね。作り手のみなさんをしっかりサポートしながら、他の作り手やブランドがみて「自分にもこんなチャンスがあるのか」と希望を持ってもらえるような成功例をどんどん作っていきたいですね。
新井
そうですね。今日の対談でも実感しましたが、素晴らしい作品を通じて感動したり共感しあえるところがハンドメイドのいいところです。クリエイティブな作品にふれてワクワクしたり、ふとその奥に広がるブランドストーリーを知って誰かに話してみたくなったり。一つひとつの作品との出会いや創造的な体験から文化は育ちます。
わたしたちも、まずはSNSなどちょっとした交流を通してなど、何か一緒に取り組んでいけたらいいですね。

ピーター
コロナ禍ではありますが、わたしたちにはインターネットがありますから、ぜひ近々何かしらの形で今後もPinkoiとminneでコラボレーションできたらいいなと思います。一緒にアジアのものづくりをリスペクトし、支援していきましょう。
新井
世界が少し疲れている今だからこそ、このタイミングで、アジアの作家・クリエイターの情熱的な作品をminne・Pinkoiが世界に発信しながら交流し、アジアの連帯から創造的な世界を作っていきましょう!

 
今回のTOP対談について「#MyCreationToTheWorld」で感想を教えてください。

ツイートを作成する

執筆 / 西巻香織
翻訳 / ジェシカ