金継ぎ講師に聞いた、金継ぎの基本のやり方とおすすめキット

欠けた器を新しく生まれ変わらせる「金継ぎ」。サステナブルな取り組みとしても、今注目を集めています。そこで金継ぎ講師として活躍されている作家さんに、金継ぎの基本とその魅力を教えていただきました。必要な道具がセットになった、初めての方におすすめのキットもご紹介しているので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

今回は、金継ぎ講師としても活躍しているminne作家の「ムゾラシカ-muzorashika-」さんに「金継ぎ」の基本と魅力について教えていただきました。

ムゾラシカ-muzorashika-
「漆」を使用したアクセサリー・雑貨を手がける。ブランド名は、熊本弁で「愛おしい・可愛い」という意味。漆文化の面白さを伝えるべく、金継ぎ教室も開催。
https://minne.com/@urushi-muzo

金継ぎとは?

ムゾラシカ
-muzorashika-
割れたり欠けたりした陶器、磁器などを天然の漆で修理する技術のことです。一説では、安土桃山時代に茶の湯文化の中で漆で茶器を修理する技術が、芸術様式まで昇華されたものだと言われています。現在では、サスティナブルな意識の高まりから日常使いの器まで対象が広がっています。また、短時間で手軽にできる合成樹脂での金継ぎや合成樹脂と天然の漆を併用した金継ぎといったファスト金継ぎも登場しています。

金継ぎに必要な道具・材料

金継ぎの作業を行うにあたり、これだけは準備しておきたいという道具・材料についてうかがってみました。

ムゾラシカ
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伝統的な金継ぎの場合と、ファスト金継ぎと呼ばれる合成樹脂を使用した金継ぎの場合に分けてご紹介します。

伝統的な金継ぎに必要な道具・材料

天然の漆、食用油(サラダ油など)、水を入れた小皿、小麦粉、段ボール箱(器が余裕で入るサイズ)、温湿度計、サランラップ

ファスト金継ぎに必要な道具・材料

エポキシ接着剤(硬化時間が30分以上のもの)、木工用パテ、合成漆
※合成漆は、合成樹脂や有機溶剤で作られた漆風塗料です。天然の漆と誤って購入しないよう、成分をよく確認してください。

共通の道具、材料

ナイロン製面相筆、デザインナイフ、へら(プラスチックヘラ、竹べら)、マスキングテープ、耐水ペーパー、真綿 、金属粉、消毒用アルコール、純テレピン油、定盤(塩ビ下敷きやガラス板など) 使い捨て手袋、スポイト、ティッシュペーパー、砥之粉

金継ぎをやる上で注意すること

金継ぎには漆を使用するため、正しい知識を学んでおく必要があります。ムゾラシカ-muzorashika-さんにおさえておきたい注意点について教えていただきました。

ムゾラシカ
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天然の漆はカブレを起こす成分が含まれています。作業するときは、手袋とアームカバー、エプロン(汚れても良い服装)を必ず着用し、直接皮膚に付かないよう気を付けましょう。(天然漆は硬化して時間が経てばカブレ成分は揮発して使用できる状態になります)
合成樹脂や合成漆を使用する場合は、口や食品が直接触れない部分のみの使用にとどめておくほうが好ましいです。(食品衛生法の基準に適合していないため、メーカー側も食器用に使わないよう呼びかけをしています)

金継ぎの基本のやり方

天然の漆を使う「伝統的金継ぎ」、合成樹脂と天然の漆とを併用する「簡漆金継ぎ」、合成樹脂のみを使う「簡易金継ぎ」の3種類に分けてご紹介。

基本のやり方

伝統的金継ぎ
接着から下地、塗りの全てに天然漆を使用します。

簡漆金継ぎ
接着や下地に合成樹脂接着剤を使い、合成樹脂をコーテイングするように天然漆を塗り仕上げます。

簡易金継ぎ
接着から下地に合成接着剤を使用、塗りに合成漆を使用します。

基本的な流れ

1.割れを接着、欠けは下地で埋める
2.接着部や下地の上に漆や合成漆でコーティングする
3.その塗面の上に金属粉を蒔いて定着させて完成

割れた器の修復方法

ここで、実際に割れてしまった器を伝統的金継ぎでどのように修復するのか、ムゾラシカ-muzorashika-さんにその手順を教えていただきました。

1.断面に漆を薄く塗る

破片の断面の面取りを粗い耐水ペーパーやダイヤモンドヤスリで行い、断面に生漆(きうるし)を筆で薄く塗って、ダンボール箱を利用して作った漆室(※)に入れて 6 時間以上かけて硬化させます。

※漆室(うるしむろ)とは…?
漆を乾かすとき、職人さんたちは木の棚で作った室(むろ)の中に、湿った布などを吊るし、加湿しながら乾かします。一般の家庭で乾かす場合は、ダンボール箱を利用するのが手軽で便利です。ダンボールの底にビニールシートを敷き、その上に温かいお湯で濡らして絞った雑巾を入れ、蓋をすれば湿度が保つことができます。湿度60%~ 70%、温度20℃~ 25℃の環境に保つようにしましょう。

2.割れた破片を張り合わせる

水で練った小麦粉に生漆を加えて、「麦漆(むぎうるし)」という接着剤を作ります。麦漆を破片同士の断面に塗りしっかり貼り合わせて、漆室で1 週間かけて硬化させます。

3.表面を滑らかにする

硬化後、はみ出た麦漆をナイフで削ったり、耐水ペーパーで研いだりして滑らかにします。

4.隙間を埋める

接着後に欠損部分が見つかった場合は、下地やパテとなる「錆漆(さびうるし)」(水練りした砥之粉に生漆を混ぜたもの)をへらでこそぎつけて埋めていきます。1日かけてそのまま机の上に置いて硬化後、耐水ペーパーで水研ぎして滑らかにした後、純テレピン油で生漆を希釈したもので塗って、漆室で 6 時間以上かけて硬化させます。

5.漆を塗る

接合部分や錆漆で埋めた部分に黒呂色漆(くろろいろうるし)を筆で塗り、漆室で 1 日かけて硬化させます。その後、 耐水ペーパーで塗膜の表面を水研ぎします。これを3回繰り返して塗膜を厚くしていきます。

6.粉を撒く

呂瀬漆(ろせうるし:黒呂色漆と生漆を混ぜたもの)や弁柄漆(べんがらうるし)を薄く塗り、半乾きさせてから銀消粉(ぎんけしふん)や金消粉(きんけしふん)を真綿に取って優しくなでるようにしながら粉を定着させます。

漆室で2~3日かけて硬化させたら完成です。

初心者でも金継ぎを美しく仕上げるコツ

最後に、これまで数々の金継ぎの作品を手がけてきたムゾラシカ-muzorashika-さんに、金継ぎ初心者でも美しく金継ぎを仕上げるコツについてうかがってみました。

ムゾラシカ
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金継ぎの作業は落ち着いて丁寧に行うことが大切です。特に天然の漆の場合は、硬化時間が長いためすぐには完成しませんが、急がば回れの精神で取り組むと美しく仕上がります。

初心者向けの器について

口の広い器(平皿や茶碗等)で、素焼きでないもの

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マグカップ等の口が狭く奥行きがあるものは、手が届きにくいので難易度が上がります。

初心者向けの破損状態

欠け小:欠けた部分の深さが3mm未満のもの
欠け大:欠けた部分の深さが3mm以上のもの
完全欠損:幅×高さ 10mm×10mm~20mm×20mm以内のもの

ムゾラシカ
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その他、割れたパーツは2~3点まで。ひびであればぐらぐらしないものを選ぶようにしましょう。

必要な道具もセットになった「金継ぎキット」

ムゾラシカ-muzorashika-さんがminneで販売している、初めての金継ぎにもおすすめのキットをご紹介します。

天然漆で繕う本格金継ぎセットと、オンライン講座1回分がセットに。ムゾラシカ -muzorashika-さん自身の長年の漆芸経験を元に、他社の金継ぎセットにはない材料や道具も厳選した特別なキットです。

金継ぎキットの詳細はこちら

金継ぎ初心者におすすめの本

連載「読む、ものづくり」のvol.1で登場した、『おうちでできる おおらか金継ぎ』。タイトル通り、金継ぎを楽しく簡単に、気楽にやろうという、なんとも初心者にうれしい内容にになっています。ぜひチェックしてみてくださいね。

読む、ものづくり vol.1『おうちでできる おおらか金継ぎ』

minneで見つかる、金継ぎアクセサリー

minneにはたくさんの「金継ぎアクセサリー」があります。ぜひチェックしてみてくださいね。

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