革小物クリエイター440さんの語る、ものづくりにおける「自由」と自分のこだわりを貫く「信念」

今回ご紹介をするのは、春先に開催された「minneのハンドメイド大賞2016」で、見事大賞を受賞されました、革作家の440(ヨシオ)さん。上質な革でつくられる作品たちは、おしりやおっぱいのかたちをしていたりと、ドキッとするくらい独特で個性あふれる作風ですが、その作品ひとつひとつは確かな製法技術と実用性を兼ね備えた、とてもクオリティの高い作品たち。自宅の横にアトリエを構え、ただひたすらに作品制作と向き合う440さんに、制作のウラ側や制作の楽しみや苦労などお伺いしてきました。

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小さいときに出会った、ものづくりの楽しさ

440さんは、どんな幼少期、どんなことに興味を持ってどんなふうに過ごしていましたか?

440 幼稚園のころにはじめたサッカーが楽しくて、外で遊ぶことが大好きでしたね。小学校時代も、あいかわらずサッカー。でもたぶん、ぼくが物をつくることに興味を持つきっかけになった出来事かなと思うんですけど、当時の小学校の担任の先生が手づくりで野球盤をつくってくれたことがあって、それをみんなで遊んでいて…。その野球盤のクオリティがすごく高くて、すごいなあって当時感じたことを、今でも覚えてます。

サッカー以外であれば、絵を描いたりすることが好きでした。特に、学校の工作の時間が好きで、家に帰ってお菓子の箱を切ったり貼ったりなんかして遊んで。NHKの「つくってあそぼ」のワクワクさんにお世話になった世代なんですよ。どっちかっていうとゴロリ顏ですけど(笑)。

小学生から続けていた絵を描くことは、その後もずっと続けていて、将来はイラストレーターになりたいなって思いはじめて、グラフィックデザインの専門学校に通いました。でも通いながらも、いざイラストレーターとして活動していくにはどうしていったらいいんだろうって、ふわふわしていたんですよね。

そんな時期に、ふらっと立ち寄った東急ハンズの革小物のコーナーをみて、突発的に「革やってみよう」って思い、革制作はじめてみたんです。革でなにかつくるといったことはもちろん初心者だったので、知見のある人に聞いたり、自分で調べたりなんかして、カッティング技術などのスキルを上げていきました。

自分にしかできない、自分がつくりたいものをつくり続けたい

ひとりで作品づくりをするにあたって、なにか心がけていることはありますか?

440 せっかくひとりでやるのなら、つくるものは世の中が求めてるもの、というよりも自分がつくりたいと思ったものだけを、貪欲につくっていけたらいいなって。革で、ちょっと変わったもの、見たことないものをつくってみようと。

ユニークな作品が多い440さんですが、アイディアはどういったところから取り入れたりしますか?

440 特にないんですよね。たとえば、美術館などにいってしまうと吸収してしまうんですよ。見に行ったら「何か取り入れなきゃ」ってなっちゃうんじゃないかって。新しいアイディアをもらいに行くっていうイメージが頭の中にあるんです…。専門学生時代よく授業の一環で行くことも多かったのですが、いつも「合わないな」って思っていましたね。不良的な考えだったのかも、ヤンキーみたいな(笑)。最近もそうなんですけど、自分の作品づくりに「ああしたらどう?」「こうしたらどう?」って近しい人から言われることも多くて、でもそれも無視しちゃう、みたいな。昔から変わっていないですね(笑)。

ものづくりに妥協はできない

独自のこだわった制作方法はありますか?

440 作業道具にはそれほどこだわりはないですが、やはり革の素材選びにはこだわっていますね。使用する革は、必ずお店に足を運んで、実際に触って、質を確かめています。はじめた当初は、作品を手に取った人のこと気にして、この革ははたしていいと思ってもらえてるのかどうか、なんて悩んだりしていた時期もあったのですがふと、たとえば、自分が最高にいいと思う革が、必ずしも手にする人にとっても最高にいいと思うかどうかはわからないですし、そこ突き詰めても仕方がないなって思ったんです。答えが出ないなら、自分が最高にいいと思ったものを使おう、自分がいいと思うこの感性を信じてやってみようって思い直したんです。 

アイディアを外から取り入れないことにも似ていますね。制作にはどれくらいの時間をかけていますか?

440 普段はそんなに時間かけていなくて、数時間程度ですね。ただ、イベント出展前になると、朝の8時から夜中の1時くらいまでの間、アトリエにこもって作品制作をしています。ごはん食べるときと寝るときだけ家に戻ってきて、ほかの時間はずっと制作するみたいな生活になるんですよ、夢中なんで。

ものづくりにおいて「自分らしい」と感じる部分を教えてください。

440 作品づくりをする方々であればみんな一緒だと思うのですが、ミス、というかちょっとでも「ここがダメだな」って思う箇所を見つけちゃうと、最初からやり直しをします。いくらそれが、完成の100に近づいていても。たとえば、ひとつミスを見つけたとして、でも購入してくれた方はきっと気づかないしOKのラインだろうなあ、なんて思うこともあるんですよ。自分はこれまでその作品を何度もつくってきているので。でも、自分がダメだと思ったらダメ。やり直します。もしそこを妥協するようになったら、ものづくりはやめるしかないなって思ってます。

自身の作品制作において、ひとつの正解をもらえた気がした

作家活動をしていてうれしかったことはありますか?

440 minneさんで作品を購入してくれて、レビューをいただけるとやっぱり嬉しいですね。あと、イベントに出展したときのことですが、作品を気に入って購入してくれた方が、のちに作家として自分のことも気に入ってくれて、ほかの出展するイベントにも来てくれたりしてくれたことがあって。作品を通していい交流が生まれたことは、つくり手としてもうれしい出来事だなと思いました。

反対に、作家活動をしていてつらかったことはありますか?

440 作品づくりってすごく没頭して根気詰めて作業しちゃうから、失敗したりすると、その反動でかすごく落ち込んじゃうんですよね。自分のバカバカバカバカッ!みたいな(笑)。でも、寝て起きたら忘れちゃってるんですけどね(笑)。もう一度ミスしなかったらいいよなって思ってるんですよね、不思議(笑)。

ハンドメイド大賞を受賞されて心境になにか変化はありましたか?

440 ああだこうだ言っても、自分がいいと思ってつくっていても、心のどこかで「これで合ってるのかな」って感覚はあって。でも、あのハンドメイド大賞で評価をしてもらえたことで、自身の作品制作において、ひとつの正解をもらえた気がしました。ほかのひとの意見に耳をかさずに、自分が正しいと思ったことだけをただひたすら制作し続けた先に、間違ってないよって背中を後押しいただけてすごくうれしかったです。自信が持てました。

今後の活動目標をおしえてください。

440 有名になる!だったり、あのメディアに出たい!なんて思っていた時期もありましたけど、いまはただこれからも、ものづくりを続けていって、さらに精度の高い作品をつくっていきたい。一生懸命つくって、寝て起きて、いいものをつくって、そのくりかえしですね。

プロフィール

440(ヨシオ)さん

「minneのハンドメイド大賞2016」にて、大賞を受賞。ユニークな作風でありつつ実用性も兼ねた革小物を多数制作している。