消しゴムはんこ作家のtoirohanko▽ヒトミさんが見つけた、小さなはんこの持つ奥深い魅力

消しゴムはんこ作家のtoirohanko▽ヒトミさんは、愛らしいオリジナルキャラクター「くたたろー」のはんこをはじめ、似顔絵はんこ、作家さんへ向けた屋号のはんこなど、さまざまな作品を生み出しています。そんな、toirohanko▽ヒトミさんが消しゴムはんこに魅了されたのは、今から約1年半前。現在はJESCA(日本イレイサースタンプ協会)認定クリエイターの資格を取得し、活動の幅を広げ続けています。

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販売されているものを、自分で作るという楽しさ

子どもの頃から、何かをつくることが好きだったんですか?

ヒトミ 子どもの頃は泥だんごをつくったり、いらない広告紙でどれだけ固くて細い剣がつくれるかとか、そういうことばかりやってました(笑)。泥だんごは、粘度の高い土でしっかりとつくったあと、さらさらの砂をかけたりと、何日もかけてクオリティの高いやつを目指したり…。

小学校に入ってからは、自分でキャラクターを考えるのが好きになって。ノートやテストの答案用紙の裏に落書きしたり、4コマ漫画を描いたりしていました。でも次第に、描いたりつくったりしなくなったんですよね。決められたものをつくることが苦手で、美術の授業も好きじゃなかったですね。高校卒業後もブライダルの専門学校へ入学し、卒業後はウェディングプランナーを目指していました。ものづくりとは全然関わっていなかったんです。

そこから何がきっかけで、ものづくりへの気持ちが復活したんですか?

ヒトミ 仕事を辞めて時間ができて、何かやってみたいなと思うようになって。たまたま文房具屋さんへ行ったときに、消しゴムはんこ用の消しゴムが目につくところに置いてあったのがきっかけでした。大きな消しゴムを見て、「何これ?ちょっとやってみたい!」と興味が湧いて。でも最初は全然できなかったんですよ、消しゴムはんこのキットについている説明書を見ても。いったん諦めたんですけど、そのあと自分でつくり方を探したり調べたりしながら、もう一回挑戦しました。

そこからはどのくらいの頻度で、つくるようになったんですか?

ヒトミ 毎日ですね。集中力が保てる日は、4〜5時間ずっと彫り続けたり。最初はアニメの絵を転写して試しに彫って練習していました。

消しゴムはんこのどんなところに、夢中になったんでしょうか?

ヒトミ はんこって「自分でつくれる」っていう意識が今までなくて、ずっと買うものだと思ってたんですね。だからお店で販売しているものを、自分でつくれるようになることがおもしろくて。進めていくうちに道具も一新していきました。

例えば、最初は彫刻刀で彫っていたんですが、その後は消しゴムはんこ用のナイフに代えて。それでも刃の部分が短くて彫りにくかったのでまた別のものを使ってみたり…。今は切り絵などをつくるときに使う、デザインナイフを愛用してます。図案を描くシャーペンも、もっと濃くて細かい図案が描けるものを探したり…。そうして、いろいろ試行錯誤してやっていくうちに自分のはんこを販売したいという気持ちが出てきました。

作家さんの屋号をデザインし発信する

販売しようと決意したきっかけは何ですか?

ヒトミ 作家としてステップアップしたいと思うようになったんです。消しゴムはんこのことを調べていくうちに、JESCA(日本イレイサースタンプ協会)の認定クリエイターという資格があるということを知って。干支や星座のはんこを12個デザインして彫って台紙に捺して、つくったはんこと一緒に送るというものでした。それで「この資格が取れたら販売する」という目標をつくることにしたんです。

チャレンジしていくうちに、自分自身に課題を課すようにしたんですね。minneでの販売では、どのような注文が多いですか?

ヒトミ オリジナルキャラの「くたたろー」や似顔絵のはんこも多いですが、実は一番多いのが、同じようにハンドメイド作品をつくっている作家さんからの注文なんです。屋号をはんこにして、自分の作品を入れる袋に押したいという注文が多くて、デザインの相談を受けながら制作しています。以前、雑貨屋さんを訪れたとき、自分のつくったはんこがアクセサリーの台紙に押してあるのを見つけて、すごく嬉しくて。そうやって、他の作家さんと一緒になって発信していけると、やり甲斐を感じますね。

販売するようになって、はんこをつくることへの考え方で変わってきたことはありますか?

ヒトミ どういうものが実用的なのか、実際に売られているものを観察するようになりました。どのくらいのものがいくらで売られているのか、という視点を少し持つようになってきたかなぁと。はんこの持ち手の部分の素材ひとつでもイメージが変わったり、重さや大きさで送料が変わったりするので、気にするようにしています。はんこをかわいく見せるためのラッピングだったり、作品を「商品」として見せる方法を考えるのって難しいんですよね。

使う度に、もらった時の感情を思い出させてくれる

toirohanko▽ヒトミさんにとって、消しゴムはんことは、ものづくりとは何ですか?

ヒトミ ものづくりは私にとって、人を喜ばすことができる手段なんです。もともと人を喜ばすことが好きで、ウエディングプランナーを目指したのもそれが理由の一つで。今はお客さんには絶対手紙を書いて同封しますし、喜んでもらいたい一心でおまけをつけたりもしています。例えば、注文とは別にその人の作品に合うようなはんこを、余った切れ端の消しゴムでつくったりとか。会ったことがない人でも、相手のことを考えて何かをしたくなるんです。 

今日もサプライズで、minne mag.用のはんこをつくってきてくださいました!

ヒトミ こういうことをするのが好きなんです!はんこって、カードに押したり、贈りものをするときにポンって押すことができたりと、日常生活でも特別な場面でも手軽に使えるんです。子どもにとっては遊び道具にもなるみたいで。いろんな人が喜ぶシチュエーションをつくれるというか。そうやって使う度に、もらったときの気持ちを思い出させてくれるものだと思うんですね。購入してくださった方から、喜びの声などをいただくことも多く、とても嬉しいです。

今後は、どのように作家活動を続けていきたいですか?

ヒトミ イベントなどに出展して、お客さんと話しながらその場ではんこを彫ってみたいですね。どういうものが求められるのか、直接お話をして感じたいというか。あと、自分のためだけの作品づくりの時間も増やしたいですね。

作品づくりとしては、どんなものをつくりたいと思っていますか?

ヒトミ 奈良にある興福寺の阿修羅像が特に好きで、それを消しゴムはんこ用の消しゴムを1枚丸々使って、大きく彫ってみたいなぁと思っています。仏像やお寺などの建築物が、昔からずっと同じ形で受け継がれてきているというところに、すごくロマンを感じるんですよね。阿修羅像の斜め45度から見た角度が好きで。そういったものをいつか、自分のためだけの大作として、楽しみながらつくり上げてみたいなと思っています。


プロフィール

toirohanko▽ヒトミさん

JESCA(日本イレイサースタンプ協会)認定クリエイター。さまざまなシチュエーションで使いたくなる、消しゴムはんこを制作。人気の、ゆるっとしたかわいさを持つキャラクター「くたたろー」は、ジャンルを超えた作家さんとのコラボレーションアイテムも制作している。